コピー機と過ごした日々

二十代前半。僕はコピーの会社に勤めていた。

コピー機を売るのではなくて受託した原図のコピーを取る会社だ。

その会社に入るまではそんな会社がこの世界に存在する事も知らなかった。

そこには青焼きの機械があり、スキャナーがあり、コピー機があった。

僕は営業だったのでコピーを取る実務と営業とは半々の割合での業務だった。あの頃の事を思うと青焼きの機械のアンモニアの臭いとコピー機のガチャンという音がセットで蘇る。

飛び込みの営業スタイルだったので色んな人に会って試行錯誤した経験が後々の仕事のベースを作ってくれた。

誰も営業ノウハウを教えてくれなかったので色んな意味で勝手に工夫する事を覚えた気がする。

二回目の訪問のタイミング、顧客の空気感を肌で感じる感覚。

そんなセンスをコピー機と過ごした日々の中で学んでいった。

それは今よりも15年ほど若かった自分の大切な財産であり淡い記憶だ。

そんな日々が形どってくれたのは何かのコピーでは無くて唯一無二の物だったのだと今になって思うのだ。

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